~A-key-can to Key-say-Chu~

 

なにかが身体の中で蠢いている感じがした。

気持ち悪くなって、洗面所で唾を吐く。
白くて針金のような細さのものが2,3つ出てきた。私は唖然として眺めていた。

長さはいろいろ。0.5センチくらいのもいたし、1センチくらいのもいた。
ソレが、尺取り虫のように、前へ進もうとしている。
(ソレ…以下"¥")

鏡を見てみた。
私の唇に、¥が乗っていた。やっぱり尺取り虫のように、うねうね動く。私は¥を手で払った。¥は最初に吐いた¥たちと混ざってうねうねしていた。

私は最近読んだ携帯小説を思い出した。
その小説の寄生虫に寄生された女性の末路…確か目や鼻や耳、ありとあらゆる人間の"穴"から寄生虫が出てくる。そして最期は腹を突き破って無数の寄生虫を周りに見せて死亡。

私は、腹部を押さえた。…ん?右腹部に缶のようなものが入っている。重さからして、空き缶だろう。
その部分を殴った。吐き出したくて、何度も殴っていた。でも出てくる気配は無かった。それに、痛みも無かった。
その間にもちょっとずつ吐き出せるのは数十匹の¥たちだけで、携帯小説で読んだ"寄生虫の増殖"という言葉だけが、頭の中をクルクルまわっていた。

ああ死ぬんだな、そう思った。
私は病院に行くことにした。
とりあえず、増殖は防げないか、と。

 

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~Ki A Ter nE-Ko~を見ていただき、ありがとうございました。

尚、このお話には続きはありません。もう書くこともできません。

また別の文書を更新していく予定ではあるので、良かったらまた来てください。

そしてもっと私のことを知っていただけると嬉しく思います。

 

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~Ki A Ter nE-Ko~

 

アイツは言いました。
霊に殺られる、と。

 

私は基本、なんでも信じるタチで、アイツが言う霊をも疑いませんでした。
間を信じたくて信じたくて、裏切られても信じ続けたくて…
いつも私が100%疑いをかけることは、ありませんでした。

 

しかし私は、アイツを日々嫌いになっていきました。
いつも繰り返す言葉がウザくて。

 

 >>霊に殺られる、霊に殺られる、霊に殺られる、霊に殺られる、霊に殺られる…
>>大丈夫、大丈夫。
>>俺が死んだら、猫になって戻ってくるからね、道で見かけたら声をかけてね。
>>大丈夫、大丈夫だから。

 

私は温かい言葉をかけていました。
でもそれは上辺だけ。
本当は死ぬなら勝手に死ねば良い、そんなふうに思っていました。

 

 私がアイツを知ったときからアイツは狂っていたのかもしれない。
虚言癖?嘘つき?そんなの今はわからない。
私が早く危険を察知して警察に言えば………考えたくないけど。 

 


9月1日、私は警察からの電話で目が覚めた。
知らない人間からの声が電波に乗って、私の耳にはアイツの死が告白された。
その時、私が何を思ったのかは覚えていない。
安堵感か?
とりあえず私は震えていた。

 

夏休み明け早々、私は学校を休んだ。
警察にはアイツの身元を言わなかった。
携帯電話を確認する。
「**ちゃん大好き、今稲沢だよ」
アイツの最期の行動は、メールを送信することだろう。

 

とりあえず私はタクシーでアイツの家へ行った。
真相は?変わったことは?
私はアイツの家に侵入した。
遺書は?私への手紙は?
アイツは車の鍵と免許証を持って行かなかった…。

 

私は車の鍵と免許証を持ってアイツの車に乗った。
運転はできない。
運転席に座ると、蒸し暑かった。
エンジンはかからなかった。
糞野郎、、、って少し泣いた。
アイツの車に乗ってみた自分に嫌気がさしたから。

 

いろいろ午後を過ごした。
夕方、稲沢県営マンションから飛び降りて、顔がわからないアイツの身元が確認できたと警官からの連絡。
彼らが発した「ビンゴ!」が嬉しそうに聞こえたが、気のせいかな??

 

私は稲沢警察署へ向かった。
話をした、言いたいことを全部吐いた。
笑い混じりに泣いた。
アイツを哀れんだからだ。
二度と会わなくて良いのが嬉しかったからだ。
私は警官に最後にアイツを見せてくれと言った。

 

物事を信じるか信じないか、話の判断ができなくなってしまった私に、一つだけ真実を見せて欲しかった。
本当にアイツは死んだ??
それさえも疑ってみてしまったから。
だが、警官は遺体を見せてはくれなかった。
彼らにとって私が幼い少女だったからだろう。
警官の一言で私は何も言えなくなった。

 

>>俺らは、金…もらってるから…

 

私は警官にアイツの車の鍵と免許証を出した。
遺族に返すだろうから。

 

 

 

私は帰った。
そして思い切り笑った。
そして泣いた、そして憎んでみた。
そして冷静になってから感謝もしてみた、貴重な体験をどうもありがとう、と。
どこに何をぶつけたらいいのかわからなかった。
壊れそうで、悔しかった。
私は霊からアイツを救う女神面してたのか??
私はアイツの何だったのだろうか??
私はアイツの何を信じれば良かったんだ??

 

 今、アイツが死んだ場所に花の一つでもあれば、きっと…
まあ確認なんて怖くてできないが。

 

 

 

もしもアイツが死後「全部嘘だった」なんて、私の前に現れてたら、刺し違えても刺していたかもしれない。

 

 

 

私は今、守りたいものがたくさんできた。
アイツのことは私にとって負の過去だが、それをきっかけに知ったこともたくさんあった。
私に負の過去があるなら、私はその過去も全てを糧に生きていこう。

 

笑って過ごすことが、今の私が出来る、アイツへの仕返しだ。

 

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